人気ネクタイが、まさかの廃盤(製造中止)!その1

  • 2019.05.17 Friday
  • 18:56

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ある日のAGOは、棚卸表を整理しながら異変に気付きました。

サンプル用のディスプレイに並ぶネクタイの中でも、特別に気にかけていた一品10. グラティチュード。その商品の補充が止まっていたのです。

「それもう、廃盤なんですよ。」と、教えてくれたのはデザイナーの木場でした。

「え、どうしてこれが廃盤になるんですか。」

驚きとともに聞き返すと、名残惜しそうな表情を浮かべながら木場が答えます。

「そもそもその商品はね、西陣の古い機屋さんにお願いしたんだけど。最初は断られてね。難しいのよ、織るのが」

木場は、手に取っていた10. グラティチュードをAGOに受け取らせると続けます。

「厚いのがわかるでしょ。織り込み方が違うの。何度もお願いして、仕上がりをやり取りしながら、ようやく完成したんだけどね。」確かに、肉厚で立体感のあるこのレベルの織は、ちょっと他では見当たらない。けれどもそれがなぜ、

「だけど、もう作れないの」

そんな結論になってしまうのか。

話をよく聞くと、「製造先の機屋さんで、古い織機をどうしても交換しなければならなくなった」からだというのです。そして、織機が変わると、それだけでもう二度と同じ商品はできなくなるというのです。

「だからもうこの商品は今あるだけでお終い。追加生産できないから」

どこか未練を断ち切るかのように、木場は足早にデスクに戻っていました。

廃盤が既定路線であることを知り、途端に執着心が芽生えたAGOは10. グラティチュードを手にしたまま木場のデスクに向かっていました。

「デザインだけ生かすとか、その機屋さんでダメなら他にも・・・」

「違うものを同じ商品として出すわけにはいかないでしょ」

「だったらリニューアルで」

「同じデザインで?」

「はい。デザインはこのままで、や、何かちょっと変えるとか、リニューアルとしてでも」

「うーん、今度また京都に行くから、その時ちょっと相談してみる」少し困ったような表情のままパソコンのキーボードを叩き始めました。

後日、まったく別の話の流れで商品についてのデザイナーの考えを聞く機会がありました。それは、ひとつひとつの商品に対する作り手としてのこだわりの部分でした。その、作り手としての感性に照らし合わせると、おそらくAGOが提案したリニューアル案は、そぐわないものであったに違いありません。

「完成品」を別の形で改めて完成品として世に出すことに対しての抵抗感は、人一倍大きいことでしょう。ただ、私はここに手にする10. グラティチュードが完全に世の中から消えてしまうことだけは、何とか避けたいという一心で、その後もことあるごとにリニューアルをプッシュし続けました。(つづく)

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